フィブロイン  絹繊維のこと

 繭糸は二本のフィブロインを包むようにセリシンが覆い、一本の糸になっている。それは蚕には左右一対の絹糸腺があり、それが合わさって一つの吐糸管として開口しているからである。つまり、絹糸腺で絹糸液(液状のフィブロイン)が作られ、吐糸管から吐糸するさいにフィブロインを包むようにセリシンが分泌されるので、二本の繊維は付着し合い、一本の繭糸として吐き出される。絹糸液は空気に触れると、水分が蒸発して絹繊維に凝固する。セリシンは熱水や石鹸水に可溶で、このセリシンを取り除くと、フィブロインのみが残り、絹特有の美しい光沢を発揮する。フィブロインはグリシン、アラニン、セリン、チロシンの四種類のアミノ酸が大部分を占め、ほかに他のアミノ酸を少量含む。断面は三角形で、これが色沢や触感の効果を高めている。

 

 
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この事典は「染織事典 中江克己編 泰流社刊」からの抜粋です

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