漆について

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きん@木地屋&ぬりもの屋 「うるしを使ってみませんか!」展

 漆+木・和紙・布・・・・。
様々な表現とは「帯」とか「器」「家具」だけではなく、天然素材が漆によって別の魅力を持ちますよ!ということです。
今回は建築造作(床、壁、扉、家具などの内装)にこんなに生かせまっせ!というレクチャーでした。
写真は今年の春、新宿リビングデザインセンターOZONEにて行った個展「漆を使ってみませんか!」展です。
1200ミリ角サイズのパネルに様々な表現を施しました。
うう、言葉では伝えにくいなあ。
ただでさえ漆はこの世の中から忘れ去られているモノで、それをもう一度知ってね!と活動しているので、北陸の方々にも見ていただれるような企画を考えます。


きん@木地屋&ぬりもの屋 Re:木と漆について

 あ、最初に輪島塗についてと書いたので、輪島塗りのことを書いているように思われますが、私の内容は木と漆についてです。
決して輪島塗にとらわれることなく、木と漆を紹介していきます。

普段は輪島塗という始まりはしませんが、今回は普通ですとのお話しをするためにこうしました。
私は産地では木地屋です。ぬりものの幅広さを伝えるためには○○産地では伝えにくいのです。
そういったところ産地では反逆児なのです。

木地屋ですから木地屋ならではの伝え方をしていきます。
ご了解願います。
(ややこしいねえ・・・・・。ごめん)


きん@木地屋&ぬりもの屋 漆器の扱いについて。

 漆器の扱いについて、一言長く(すみません)。
漆器は紫外線に弱いですね。ですからこれまでは屋外では使えないということになっています。
しかし、最近、天然漆の耐久性を高める研究が進み、屋外でも使える漆、食洗機でも耐久性が高い漆が開発されています。
この内容ははっきりとした記事を見つけてまたお知らせいたします。
木や布を素地として、天然漆を塗られた漆器は使った後、少々水につけていてもかまいません。むしろ、乾燥が激しい関東地区では使って洗うことを繰り返す方が漆器としての表情を生き生きとしてきれいにしていきます。
それは固まった漆が保湿成分を持ち続けるからなのです。最近の化粧品に入るようになったあれですね。みずみずしいのです。
しかし、もったいないといって使わないと漆塗膜はこの保湿成分を素地の木地から補充しようとします。使わない重箱の内隅が割れてくるのはこれが原因です。乾燥激しい住居にお住まいの方々は漆器を使った方が良いのです。
また、保管も家の中でじめじめしたところを選んでください。都市部ではじめじめ部分が少ないようですが、収納部分の上より下ですね。
ただし、下地を施した器で、使用中落として欠けたり、少し割れが発生したものはすぐに直しに出してください。そのまま使い続けると木地の内部に水分が染みこみ直しにくくなることがありあますから。
丁寧な下地、塗りが施されたものは水につけておいてもかまいません。使わない方が良いかもしれませんが磨き成分が入っていない洗剤ならばスポンジで洗ってもかまわないと思います。洗うときは先に漆器を洗ってください。洗いざらしのタオルでさっと拭き取ればそれで大丈夫です。
ただし、洗い桶に陶器やガラスなど硬度の高いものと一緒に入れたり、磨き材がついたスポンジで洗ったりしないでください。
電子レンジは内部の木地を炭化させますから厳禁です。(あるギャラリーでお嫁さんにやられたの、、、と持ち込まれた方がいました。大げさではないのです。)
なんかこう書くとやっぱりややこしそうと感じるかもしれませんが、ほかの素材で作られた器の説明書も細々書いています。
ガラス作家のT女史は私たちのグループ展のあdmを読んで、「ガラスの方が漆器より丁寧に扱ってもらわないとこまるんです・・・・」と言われていました。
オイル塗装の木製品は使う食べ物を選ばないとイヤなシミになることがあります。
土ものの陶器を洗うとき、欠けやすいから周りを開けて洗いますし、薄い磁器の上縁には細心の注意が必要です。
なぜ、うるしはそんなにも扱いづらいというモノになってしまったのでしょうか?(と問いかけてみたりして・・・・)
また長くなりました。ごめんなさい。
ではまた。

 
きん@木地屋&ぬりもの屋 桐本の漆の器など
 今回はうるしの器の一部をご覧ください。
この夏、千葉のギャラリーで行った企画です。
私が探したライン、うるしの表情、自分で使うならば、さらにはこうすると使いでがあるのでは?などなどと考えて造形デザイン、プロデュースしているうるしの器です。
手前の山道盆、皿・片口の口の木地は桐本木工所の職人さん、丸もの椀木地職人さんは4才上、下地職人さんは5才上、上塗り職人さんは1才上、いずれも同年代の職人さん達と一緒に創り上げています。
各企画では木やうるしのレクチャー、うるしの器で食べ物を頂く集い、フランス料理ランチ、山菜料理、和菓子などなど行ってきています。

一番上段右の器は「片口・すぎ型・大、中、小」ですね。
その下の段にあるのが「すぎ椀シリーズ」。これに口を付けたものです。
逆さまにしたときに杉の木の先っぽに似ているので「すぎ型」です。モチーフは友人のお父さんが持っている安土桃山時代の古清水焼きの抹茶腕です。
きれいな形だったので何とか木で挽けるようにならないか?
椀木地屋さんと「かたち」を作り出しました。
一度見てほしいですね。

食洗機に耐えうる「漆器」の件ですが、これは各産地の「漆器」に対する意味のとらえ方がまちまちなので、まずそれを統一してからでないと意味が違って来ますので、長くなりますが書いておきますね。
・私が思う漆器とは「木、布などの素地に天然漆を塗ったもの」ととらえています。
・ただし、他の産地ではそれが「現代漆器」とか「近代漆器」とい名の下で「樹脂、または木粉を樹脂で固めた素地に、漆加工塗料、または樹脂塗料を塗ったもの」が生産されています。
山中産地では高度成長期以降の不振時期に確立した現代漆器から環境ホルモンが微量ながらもにじみ出るとのことから、整形しにくかったペット樹脂を用いて環境に優しい新シリーズを開発しました。これを使った給食椀を産地の救世主の1シリーズとして積極的に展開しています。これは食洗機も大丈夫です。
しかし、私が考える漆器ではありませんし、「漆器風の器」です。
産地批判ではなく、樹脂批判ではありません。私が思う漆器ではないと言うことです。
報道がはっきりとしていませんよね。ややこしいと思います。

輪島という産地の目を向けてみると、(私は木地屋ならではの漆器をかんがえています。輪島塗という技法にこだわっているわけではないので、あえてこのような言い方をしますが)輪島病院、市内の小学校、国民宿舎でケヤキ素地、布着せ本堅地(下地に珪藻土を焼成粉末した地の粉を使います)の椀、皿を使っています。もちろん食洗機にもかけています。
病院では使い始めて3,4年のはずですからこれから詳しいデーターが出てくるはずです。
私は3年半前にぶっ倒れて入院しましたが、その際、蓋付きの飯椀、汁椀が出ましたがうれしかったですね。夜は洗いの方がいなくなるので樹脂でしたが・・・・。
この辺でやめますが、木に漆が塗られた漆器は使うと結構うれしくなるものです。決して安いものではありませんが、使い込むほどに手になじみ、使い艶が出てきます。早い方で5,6年、10年くらいで「なおし」が発生してきますが、直しながらその人の暮らしに馴染んで来ます。
このような話しを少しずつ広げていこうと活動しています。
まだまだですが・・・・・。

きん@木地屋&ぬりもの屋 輪島塗とほかの漆器について
 お誘いがありましたので、まずは輪島塗について。

輪島塗が普通のぬりものです。別に特別ではありません。

蒔絵や沈金といった高度成長期とバブル期に目立った製品は輪島本来の実用漆器からははずれた品物といって良いと思います。
蒔絵は日本人が技を高めた世界に誇る技術ですが、輪島では明治に入ってから始まった新しいモノです。輪島本来の加飾は沈金と呼ばれる地味な技法です。戦前までは実用に優れた良いモノが多く作られています。反面、量産廉価を意識したモノも作られていた事実もあります。

いまはあたかも加賀藩お抱え産地のようなイメージがありますが、それは反対でいじめられていました。古くからのそうめんの産地、北前船の寄港地で力があったのですね。前田藩からの重税に苦しめられていたようです。
それに耐えるために江戸時代半ばに本格的な産地として歩み始めているようです。実用本位のものづくり、お客様へのしかっかりとしたアフターフォローなどを全面に出して、遠隔地のハンディを克服してきたのです。

産地で採用しているのがたくさんある漆塗りの技法の中で「布着せ本堅地技法」というもの。かけやすい部分に漆で布を接着します。これを「着せる」と言います。
本堅地とは生漆(きうるし)に土と米糊を混ぜて下地塗りを行います。
輪島では輪島の小峰山で産出される珪藻土を焼成粉末した「地の粉」と呼ばれる土を使います。この土がかなり優秀。不純物が少ない上に軽量。先人達がうまくこれを生かしてきました。
顕微鏡で見てみると一粒一粒が多孔質で吸湿性に富んでいます。これが漆との馴染み、木地への活着率を増幅させます。

但し、本堅地が一番強いかと言えばそうではなく、蒔き地技法とか本地技法と呼ばれる技法の方が強いのです。
しかし、これも産地として多くの数量をこなそうとすると、表面が固すぎて効率が悪すぎる。

小ロット生産の桐本は塗り職人さんにどの技法もチャレンジしてもらっています。小さいは小さいなりに幅広い分野に取り組めるのです。
これを言い始めるときりがないのでここでやめます。
どこかでお話ししたいですね。(え、いらない???)

私は工業デザイン専攻からオフィスプランニングを経て、家業の木地屋を生業としています。同時にわじまの同年代の職人さん達と一緒に木や漆の品物を作りだしています。私の役割はデザイン、プロデュースです。
これまでの技法だけでなく、どうすれば木の良さが生かされるのか?どうすればもっと強い漆塗膜面が作り出せるか?それよりどうすれば知ってもらえるか?使ってもらえるか?などなど・・・・・。
マニアックと言われそうですが、漆の品物はこの世から遊離して、知られていないモノですから、少々、そんなところにもつっこんで行かないといけない場合があります。

また、もっと親しんで頂きたいので、展示販売する企画だけでなく。実際に使ってもらえる企画も手がけています。
・フランス料理と漆
・粟ぜんざいとすぎ椀
・山菜料理、さしみこんにゃくと漆
・黒米ぜんざいとすぎ椀
・くるみ餅とすぎ椀
いつも東京や名古屋など都市部での企画が多いので、来年は北陸のどこかで企画がしたいと思います。

 
「和」について話しませんか?
このデータベースは掲示板「和」について話しませんか? からの抜粋です

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