福光麻(ふくみつあさ) 富山県南砺市福光で産する麻織物

 江戸初期には八講布、呉郎丸布などと称された。 八講(はっこう)は小矢部市八講田、呉郎丸(ごろうまる)は隣接する小矢部市五郎丸の特産だったが砺波地方に拡散した。 また小矢部川の上流地帯(川上郷)で産したところから川上布ともいわれた。

 伝説によると延歴13年(794)に初めて麻布を織ったというが、天正年間から慶長年間(1573〜1615)にかけては、加賀藩が奨励したことから盛んに生産された。

 江戸時代の麻布は経糸が五箇山近在の地苧、緯糸は最上産の青苧を使用、その種類も多く、紋布、布縮縞、蚊帳、虎縞、経に綿糸を用いた緯布などを織り出していた。現在では群馬、栃木産の大麻に、苧麻を一部に使用。

 苧績みはすべて手作業で行い、糸車で撚りをかける。機は居坐機、高機を使い、織り上げたあとは灰汁水に漬けて晒し、木槌で打ち、さらに水洗いして天日に晒す、という作業を20日から30日ほど繰り返す。衣料のほか幕、茶巾、蚊帳、畳縁用にされ、昭和40年代までは盛んだったが、現在は非常に少なくなっている。

 

 
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この事典は「染織事典 中江克己編 泰流社刊」からの抜粋です

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